2012年09月12日 10:33
高江ヘリパッドの控訴審で、福岡高裁那覇支部は11日までに、国が提訴した法的根拠などに疑問を呈し、国に根拠を主張するよう求めた。
提訴の根本要素である法的根拠の不備を裁判所が指摘した格好。住民側弁護団は一定評価し、「そもそも国の請求は法的に成り立たず、住民弾圧を目的とした提訴の不当性は明らかだ」と批判した。
裁判所が国に求めた釈明事項では、提訴したのは人間ではない「国」という抽象的な存在だと前置き。その国が「通行」するのを「物理的な方法」で妨害するのは不可能ではないかとの疑問を示し、見解を求めている。
裁判所は工事現場にいる沖縄防衛局職員を国の一部と考える余地はあっても、請負業者の従業員はそう理解しがたいとしている。
また、国は今回、私的権利である土地の所有権に基づき通行妨害の禁止を求めて提訴した。
しかし裁判所は、国が妨害を主張する県管理道では「道路法上は道路の敷地に私権を行使できない」として、国に請求の法的根拠を求めている。
そのほか、国が妨害を主張する進入路以外で通れる進入路があれば「国に訴える利益(資格)はないとも考えられる」と指摘した。
裁判所の釈明要求に対し、国側の指定代理人は11日の口頭弁論で、11月12日までに回答すると答えた。
一審で通行妨害禁止命令を受けた住民の伊佐真次さん(50)が意見陳述し、オスプレイ配備に向けてヘリパッド建設工事が進む現状を訴え、一審判決は「座り込みという活動をしなければならないことに触れていない」と批判した。
弁護団は全国で住民運動をめぐる住民と自治体との裁判の判例を挙げ、伊佐さんには一審判決が指摘する正当な表現活動を超える違法性はないと主張した。
[中略]
伊佐さんとともに国に訴えられ、一審判決で国の訴えが棄却された安次嶺現達さん(53)は「国が住民を通行妨害で訴えた裁判はオスプレイ配備を隠すためのまやかしだ」と批判した。
伊佐さんは「国はすぐにでも裁判を取りやめるべきだ。僕らはヘリパッドはいらないと訴えているのに、通行妨害で国が訴えることは意味が判らない。嫌がらせ裁判だ」と訴えた。
住民らは判決を不服として控訴すると共に、国の裁判の目的は住民運動の萎縮であり、訴えそのものが不当だと主張しています。
高江にすむ森岡さんは「私も初めのうちは仮処分という中の13人に入っていて、仮処分が却下されて自分は裁判から離れました。その時、やはり自分は『ほっ』としました。生活を普通にしながら裁判に訴えられるというのはどういうことかというのは、やはり自分が訴えられた人じゃないとわからないと思います。伊佐さんに一日でも早く平和で普通の生活をしてもらいたいと思います」と話します。
11日の控訴審で国に訴えられた伊佐さんは「国は私を妨害者扱いするが、なぜ座り込まなければならなかったかを審理してほしい」と訴えました。
次回裁判は11月20日に開かれる予定です。